後期高齢者医療(長寿医療)制度について

 今月から新しい医療制度である「後期高齢者医療制度(通称・長寿医療制度)」が施行されました。国民皆保険制度を維持していくためとはいえ、75歳以上の方々を一律に新制度へ編入していくことや現役世代も含めた保険料の負担増、更には年金からの天引きという徴収方法については得心のいくものではありません。医療費の伸びが十分に予測できたにもかかわらず、医療業界の改革を怠り、財政不足に至った根源でもある省庁の無駄遣いから眼を背け、国民や地方にツケを回し、なかんずく社会的経済的に弱い立場にある人を守れなくなっている現状を表しているような新制度と言わなければなりません。と同時に、ここ数年推し進めてきた構造改革路線のあり方とも密接に結びついている制度と言えます。構造改革路線によってもたらされたもの、失われたものを冷静に振り返り、何のための改革だったのか、そしてどのような社会へ進もうとしているのかを世論喚起していかなければならないと思います。

 本格的な少子高齢化社会を迎えて、毎年1兆円を越す国民医療費の伸びが年々国家財政を圧迫してくる中で、医療費の抑制はまさに政治の命題でありますが、そのことが医療サービスの低下を招いたり、いわば高齢者の切り捨てにつながるようなことがあってはならないと存じます。また、政局が優先され、一時凍結による負担増の先送りも問題の解決にはまったく意味をなしません。国民皆保険制度の破綻を回避するため安易に国民負担を強いるようでは、政治への信頼回復は遠のくばかりです。

 年金制度と同様に、国民皆医療の制度存続には国民も大変な危機感を持っているわけですから、国民の最後の拠りどころである政治は、その責任をしっかり果たさなければなりません。医薬や医療機器業界も含め、質の良い効率的で透明性の高い医療システムを構築することで患者・国民のための医療改革を実現していくことと、監督省庁の厚生労働省および外郭団体における経費削減、無駄遣いの一掃がまずは真っ先に行われて然るべきと存じます。

右松たかひろ

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